住宅リペアと日本の住宅事情
かつてたくさんいた「大工さん」の数が、今は半数以下と減ってしまったことをご存知でしょうか?
1980年代の調査ではおよそ94万人もいた大工さんは、たった30年で40万人ほどに減少しているのです(2010年調査)。
さらに、その大工さんの平均年齢も高齢化が進んでいます。
その背景には、かつて住宅づくりは1万を超える部材を組み立てるスタイルが主流だったものが、現在では建材の加工や仕上げなど、組み立ての多くの部分を工場で事前に行い、現地で組み立てるというかたちに変わってきたことも影響しているでしょう。
現在、住宅での評価は、かつてのように大工さんの腕ではなく、工業製品としての評価であると言っても過言ではありません。
しかし高い技術の木造建築の伝統を持つ日本では、木造が主流の住宅に対して、消費者の評価の目は世界でも厳しい方と言えます
外観や内装だけでなく、機能や設備、快適さなど、住宅に求める水準は大工さんの減少とは逆に高まる一方。
こうしたギャップを背景に、今、住宅リペア産業がどんどん成長してきているのです。
それを裏付けるように、現在の住宅事情には3つの流通市場が形成されてきているのです。
一つは新築など、新品市場。
住宅を購入するなら新築で、という人はまだまだ多いもの。
一方で、なかなか好転しない経済事情を背景に、よいものは修理しながら使い続ける、よいものであれば中古でも購入したいという人も増えてきており、それは住宅事情でも同様です。
と、言うわけで二つ目は、以前にも増して活気を見せている中古市場。
また、最近では民泊やカーシェアリングなど、モノを必要な時だけ借りて使うという考え方も出てきていますね。
三つ目、このシェア(共用)市場も拡大傾向にあります。
かつては大量製造、大量消費が豊かさの指標のようになっていました。
しかし経済事情や流通事情の変化から、修理しながら使う、中古で購入した住宅を修繕して住み続けるケースが増え、住宅リペア産業はますますの活況をみせているのです。